自分らしくキャリアをデザインするためのカウンセリング

キャリアカウンセリングでは、その時のクライアントの状況で話す内容も変わるけれど、苦しんだり悩んだりしている人には「自分の歴史」を振り返ってもらうことも多いです。

だけど「今この瞬間」が辛く、弱っていたりすると、たとえば楽しかったことや悲しかったことというようなカテゴリで過去の出来事や感情を思い出すのは案外難しい。無意識に避けようとしているから思い出せないもの。

だからあえて時系列、つまり「歴史」で振り返るようにしてもらっています。

状況によって思い出してもらう時代は違うけれど、「小学校低学年のとき!?あーこんな出来事があったな、ものすごく悔しい思いをしたんだっけ」とか「20歳になったとき!?あー確かこんなこと言われたっけ、目からウロコだったよな」みたいに少しずつ思い出せたりする。

けれど面白いことに、思い出すその時の感情って、ちょっと共通していたりする。それは、頭に浮かぶ自分の過去が、思い出している「今その瞬間」の感情や思考、願望に沿ったものになっているから。要するに、今の自分に都合の悪いことは簡単には思い出せないようになっているということ。わたしはいつも、ここがほんとうに興味深くて。

今の自分に必要な過去しか「存在しない」

考えても思い出せないのは「今の自分には必要がない」と判断しているということ。なんだけど、本当はその判断の中に、思い込みや本質の価値観が隠れていることが多い。だから思い出せない過去の感情に、わたしから「この出来事のときは、そうするとたとえばこんな風に感じていたりした?」など、仮説をぽんと投げてあげます。

わたしが質問した仮説がしっくりくるかこないのかということを基準にしながら、過去の出来事と感情を掘り下げていく。仮説が引き金になって忘れていた別の感情を思い出したりすることもある。何のために過去の感情を思い出すのかというと、「この出来事のときはこう感じていた、それは今の自分にとってこんな意味だった」という意味づけをするためです。

この「新たな意味づけ」がめちゃくちゃ大事。

自分の過去に「意味をつける」

過去を振り返るのはイヤだ、という人もいる。失敗したこと、悔しい思い出、それにまつわる人間関係など、思い出すのもつらい出来事だってあるし。今の自分を苦しませている本当の要因が、その思い出したくもない過去に隠れてることも多いから。

けれど、実は思っているよりもビビることはない。
ちゃっかり、思い出したいことしか思い出せないようになっているし、そうやって思い出した過去の自分には、今の自分に必要な「意味」がある。

今まで意味付けしていた過去はたいてい、今の意味付けと違っているものです。

たとえばわたしの例でいうと、アルバイトを含め18もの職場を転々としたことは当時にしてみればコンプレックスで嫌な出来事だった。でも「今の自分」にとってその過去は人と関わることの楽しさや何事もやってみることの大切さを、たくさんの転職の中で学ぶ必要があったのだという重要な「別の意味」がある。

同じ事実なのに、今の自分と過去の自分では違った捉え方をするんですね。
これが「過去を変える」ということ。

もしかしたら思い出したくもない過去の事実があって、その事実を変えられないから苦しんでいるとしても、今の自分から見た過去への「捉え方や意味」は変えられる。ネガティブで闇に葬り去りたいと思える過去だって、今とこれからの自分にとっては大事な価値観、資産になっていくんだよね。いわゆる”自分らしさ”というか。

自分らしさはブランドのようなもの

たとえば、高級ファッションといえばルイ・ヴィトンやプラダ。時計といえば、オメガやロレックス。国産車といえば、トヨタやニッサン。ボールペンといえば、パイロットやゼブラなどが有名どころではある。認知度や好き嫌いもあるし、人によっても浮かぶブランドは違うと思うけど、【ボールペンといえば、ロレックス】とはならないですよね?

それぞれの個性や強み、ウリを打ち出しているからロレックスとパイロットを比べる人なんて誰もいない。

もちろんロレックスの社員さんもお客さんも「ボールペンを売ってないからロレックスなんて価値がない」と嘆いたりもしない。有名ブランドってだけで価値があるものだよね。

自分というブランド「自分らしさ」は、誰かと同じである必要がないし、たとえばもしも他と比べて何かが欠落しているように見えたとしても、そこを比べるのはおかしいこと。

さらに、今の自分らしさを形成している過去にどんなことがあったとしても、「今の意味づけ」を変えることでどんどん磨かれていくし、もっと言えば、必ずしもポジティブだけが輝くとは限らないのです。

意味が変わった過去は未来への資産

わっと泣き出したり、怒りやあからさまな嫌悪感が出てきたり、思い出すことを拒否する姿勢などが見えてきたら、わたしはそれがクライアントにとっての「ホンモノの課題」なのだと思っています。

その場では解決できないこともあるし、たとえ30分でも本質に触れてスッキリすることもある。時間がかかったとしてもやっぱり、どう考えても過去は(意味付けを)変えられる。

そして意味付けが変わった過去は、その人にとっての宝物/資産です。
だってプランドなんですから。