衝突とか嫌われることとか『見たくないもの』から逃げない

2019年。平成から令和に変わり、多くの人が転機や人生の課題に直面したのではないかと思う。昔は正直、元号が変わることなんて日本国民のイベントの一つに過ぎないよねなどと思っていたけれど、いざそうなってみるとやっぱり世の中の流れは確実に個人個人に影響を与えるものなんだなぁと実感する。

わたしももれなく、そう。一番は、周囲との関係性が昨年とは劇的に変わったのを肌で感じること。言い換えれば「付き合い方や距離感」の変化。それは「自分のこういうとこ、好きじゃないな」とか「あの人のこういうところ苦手」みたいな場面に遭遇する機会が圧倒的に多かった中で、「じゃあ自分はどうしていく?」「相手にはどうしてほしいの?」「だったら、どんな関わりをしたい?」と考えたり、さまざまな情報を集めたりして、違う見方も知っていくうちに新たに生まれた周囲への接し方や振る舞いなのかな、と思う。

「喪失」を避けたがっている自分

たとえば今年、父が突然、症例の少ない希少難病に罹った。救急車で運ばれ、救命病棟に入れられ、先生曰く「生きるか死ぬか」のはざまで父は闘っていた。

最初は現実味がなくて、まるで夢の世界にいるみたいな感じ。突然のことで驚いて実感がないと言ったほうが正しいのかな。ある日突然「何かあったら」とか「最悪のケースも」というフレーズがちらほら聞こえる環境に身を置いたとき、人はきっと”実感が湧かない”という反応で現実を受け入れることを拒否し、自分の身を守ろうとするのだ。

そしてそのあとも様々な反応で「現実に適応すること」を阻もうとする。

わたしの場合それは食欲不振とか、感情(涙やイライラ)の表出といった反応だった。父の状態に一喜一憂して何かあればすぐ「万が一のこと」を連想してしまう。そして周囲にわかりやすい形で『それは嫌だ』と思っていることが露骨に表れていた。

家族を失いたくない。その気持ちは普通のことだけれど、人は誰だっていつかは死ぬ。それが「今じゃない保証」なんてどこにもないということを父は受け入れていた。そしてベッドサイドで泣いているわたし(このへんがもう、ホント自分の嫌いなとこ)に向かって「普通、逆だろ?」と諭し、今後のこと、つまり万が一のことが起こると想定した場合のことなどをわたしに伝えてきた。

この時にはっきりと、あぁわたしは「いつか来るであろう喪失体験」から全力で逃げようとしているんだな…と自覚した。それを父が「逃げてんじゃないよ」と教えてくれた気がしたのだ。

ずっと避け続けてきた「衝突」や「嫌われること」

よーく考えてみると、これまで何十年も無意識に避け続けてきたことがあるな、と思った。たとえば、意見の衝突、感情のぶつかり合い、評価を下げられそうなこと、もっと言えば嫌われてしまうことなどもそうだ。そういうニオイを察知すると、その場(ときにはその環境そのもの)から離れたり、話題を変えたり、話を終わらせようとしたりして「なかったこと」にしようとする傾向がある。

そういうのは全て、人が自分から離れていってしまうこと、つまり【喪失】を回避するために無意識で行われてきた拒否反応だったのだと思う。

誰だって自分の周りから人が離れていくなんて体験はしたくない。だから、権威をふりかざして恐怖を与え人が離れられないようにしたり、逆に人の顔色を窺い自分の意思を押し殺してその人との関係をつなぎとめようとするんじゃないだろうか。

「嫌われることを恐れるな」と言われるのは、何もわがままを押し通して人と衝突ばかりしながら生きていけということではない。合わない人は必ずいる、合わないこともあるということ。ときに人が自分から離れていく現実から逃げずに自分や相手と向き合いなさいってことなんだよね。

人が離れていくことを「人を失う」と捉え、そこから逃げ続けていたら、いつまで経っても自分らしい”人との関わり方”は見えてこないのだ。

”見たくないもの”から逃げない

「失うかもしれない」という怖さが冷静な判断を鈍らせる。だからといって「失ってもいい」とは思えない状況も多い。身近な人の死という永遠の別れなんてまさにそうだし、立場や収入、信頼や評価、関係性や仲間などもそうだと思う。でも、どんなに頑張っても失うことはあるんだという現実から目を背けちゃいけない。

嫌なことや見たくないものをしっかり見つめた時に初めて、自分はこの人(状況)とどう関わっていけばいいのか、どう関わりたいと思っているのかが見えてくる。

邪魔をするのはいつだって「かもしれない」ということ、つまり起こる「前」の予測や想定だったりする。誰かや何かを失うかもしれないという場面に遭遇した時に、失うことを避けようとするんじゃなく、”そうなったら”どうする?どうなる?と考えてみることこそが目を背けないということになるのだと思う。

2020年も節目の年になるはず。
来年のテーマは『見たくないものから逃げない』に決定だな。

今年も本当にたくさんの方々にお世話になりました。
感謝とともに、来年もよろしくお願いいたします。
どうぞ、良いお年をお迎えください。

ABOUTこの記事をかいた人

キャリアカウンセラー 大野乃梨子

通称はイトウ(旧姓)/ノリさん。ほんとうの自分を知ること、人間関係や仕事の問題解決に向けた考え方、キャリアビジョンの描き方、ビジョンに向けた課題の取り組み方などに特化した記事を書いています。わたし自身もメンタル不調を患って以来20年、自分と向き合うことや人との関わりを長年考え続け、学び続けている最中です。自分をちゃんと理解し、それをわかってもらう喜びが人を動かす。それが「自分らしく生きる」ことだと思っています。