部下の多様化にマネジメントを適応させる

はじめての方へ

職場環境や人間関係が引き金となって休職や退職を余儀なくされる話が後を絶たない。
接客販売だとそこにさらに顧客への「感情労働」も加わって、ストレスが尋常ではない。レジリエンスを鍛えざるを得ない職種だよなぁといつも思う。

復職し、徐々に回復している例だってもちろんある。
ただそのためには少なくとも周囲の理解や支援を得られるというのが必須。今のところ、圧倒的に数少ない例なのかもしれない。

メンタル不調による休職からの復職

1ヶ月の休職を経て休職前とは異なる部署に復職した例では、上位者が理解を示し、会社や周囲のメンバーを上手に巻き込んで、復職の環境を整えてあげてましたね。

当然、休職前と同じ時間、量、質の仕事はできなくて、復職しても遅刻・早退・欠勤が多く、本人も諦めそうになって。巻き込んだ周囲のメンバーからも徐々に「いつになったら…」というような焦りも出始めていたけれど、理解を示した上位者だけは諦めなかった。本人の精一杯の頑張りを認め、周囲へのフォローもやり、「絶対に前のように楽しく仕事ができるようになってほしい」という気持ちを忘れずに持ち続け、それが周囲にも伝わっていたのだと思う。

転機は復職から2ヶ月経過する頃に訪れて。

ある日、それまでは「できない」と本人が避けていた、前に携わっていた仕事をやらなければいけない状況になって。周囲が「どうする?やめておく?」と配慮を示すと、「できるかどうかはわからないけれど、やってみます」と本人。

これが結果、できたのですね。やりきった。
周囲の安堵感そして何より本人にとって自信につながり、その日をきっかけに遅刻・早退・欠勤も徐々に減っていったそう。この報告を聞いた上位者の方は泣いて喜んで「諦めなくてよかった」って。いやぁほんとうに素敵な上司だと思ったなぁ。

成功ポイントは上司の頑張りによる「受け入れ環境の整備」

すべてのケースがうまくいくとは言えないかもしれない。状況が許さない場所もある。環境を整えてあげたくても、まだまだ周囲の理解が得られないことの方が多いのだろう。また、どんなに環境を整えてサポートしても本人が耐えきれずに諦めてしまうことだってある。

メンタル不調の場合、以後いつまた「波」がやってくるかもわからなくて、本人も周囲もその時はゼロから、いや、マイナスからやり直しを余儀なくされてうまくいかなくなることもある。それでも、自分の回復を願ってくれるサポーターがいるという事実が何より心強いのではないだろうか?本人がいくら諦めそうになってもサポーターが諦めない。その心強さがあったからこそ上記の例では「やってみる」と本人が勇気を出せたのだと思う。

必要なのはレジリエンス(柔軟性)

一般的に、秩序や常識や完璧を好む傾向はメンタル不調を起こしやすいと言われる。「できない自分」「欠けている自分」を許すことができない。わたしもそうだったけれど、自分の理想と現実とのギャップを受け入れるしなやかさがちょっと足りないというか(そして仕事でそれを鍛えられた)

そう考えると、受け入れる側にも同じことが言えるのかもしれない。メンタル不調だけじゃなくもっと広い意味での多様性も、自分と他者との違いを受け入れるという局面に「常識」などが入り込むと、自分(の常識)と異なるものは「異物」としてそのギャップを受け入れないというスタンスが出来上がってしまう。

ひとりひとりのそうしたスタンスが文化になって「多様性を受け入れない環境」につながっているのだと思う。限られたリソースの中で最大の結果が求められる組織の中ではほんとうに難しい問題だけれど、今はもう、全員に同じことを同じ時間・量・質で成し遂げるように求めていい時代じゃないんだよね。

上司のレジリエンスは、自分を客観的に見つめることから

逆境や違いを受け入れる柔軟な姿勢は、今の時代のマネジメントに絶対必要。組織のマネジメントも、そして自分自身のセルフマネジメントもそうだと思う。

他者に受け入れられない経験、自分を自分で受け入れられなくなり、心が傷つき、折れてしまった状態から「もう一度頑張ってみよう」を引き出すにはやっぱり環境の力が大きい。環境が整った上で「できた」「受け入れてもらえた」という経験を重ねることが大事だなって思う。そのためには、メンタル不調を含めた多様性を受け入れる上司の姿勢がすごく重要。

ただこれが、今度は上司の方がメンタルをやられちゃうこともあるから難しいよね。

そうならないためにも、マネージャーやリーダー・管理職の立場の方は特に、自分を客観的に見られる「第三者によるカウンセリング」をおすすめします。

 

ABOUTこの記事をかいた人

キャリアカウンセラー 大野乃梨子

通称はイトウ(旧姓)/ノリさん。ほんとうの自分を知ること、人間関係や仕事の問題解決に向けた考え方、キャリアビジョンの描き方、ビジョンに向けた課題の取り組み方などに特化した記事を書いています。わたし自身もメンタル不調を患って以来20年、自分と向き合うことや人との関わりを長年考え続け、学び続けている最中です。自分をちゃんと理解し、それをわかってもらう喜びが人を動かす。それが「自分らしく生きる」ことだと思っています。