自分のこと、部下のこと「ほんとうに」わかっていますか?

はじめての方へ

ここ最近は、カウンセリングセッションと企業向け研修の新しいプログラムを考えている最中です。
それで、これまで4年間たくさんの販売業の方々と対話をさせてもらった中で感じた大切なことは多々あれど、どうしてもコレだけは外せないと思うことってやっぱり集約されてくるな、と。

たとえば「相手を理解する」ということ。
このテーマはわたしと、心理カウンセラーのオットとの間でもたびたび議論される内容で、「なにを」わかってほしいのか?「どうなったら」わかったことになるのか?など、表面的な話では全然おさまらない。

相手を理解するとは何を意味するのか?を考えていったら「あ、それ、自分自身を理解するのも同じだ」となったりしてすごく興味深いので、今日はそんなお話。

「わかった気」に要注意

「わかってくれない」という感情はものすごく人を消耗させます。なかでも特に身近な人、親子・夫婦・友人・上司・部下などの関係でお互いに理解し合えないことが多発すると、それはもう感情が大暴走。わたし自身も厄介な感情の暴走とはずいぶん戦ってきたけれど(そしてわりと負けているけれど笑)その大半が「わかてくれない」なんですよね。

それで、相手との関係を良くしたいと考える人は相手の話に耳を傾け、ちゃんと聴いて、理解しようと試みる。時間はかかっても「こういうことだったんだな」と理解して、相手の考えや気持ちを尊重した接し方や心構えに変えていきたいと思っている。

でもその「こういうことだったんだな」が、結構な割合で違っているのですよ…まったくいやんなっちゃう。

同じ方向を見て欲しい…ってそれ、どこのこと?なんのこと?

目指したい場所(目標)がある、こういう目的のために動いている。それが明確になっているチームは(少ないけど)存在する。リーダーがミーティングなどでそれらをハッキリと部下に打ち出して「よし、一緒にやっていこう」となったりする。なのに部下の動きを見ていると、目的から外れている、それじゃ目標に届かない。「あのヤロー、自分勝手に動きやがって…」というのは心の声。

こういうエラーのほとんどは、伝えられた内容が「聞き手それぞれの解釈」によって変換されているってことなんです。もう少し言い方を変えると「変換しないと理解できないような伝え方」になっている可能性があるということ。

どういう伝え方かというと、管理職研修などでよく使われる例え話がピッタリ当てはまる。
「このホワイトボードを片付けておいてください」という指示に対し、ペンとイレイサーはここ、ボードはこの位置に移動、ペンを消したカスが残らないよう拭いて、などの具体的な行動指示がない限りは「実際に片付ける人の解釈」で片付けられ、指示した人が意図していた通りにはならないですよという話。

何をすることが「片付ける」なのか?伝える人がつい端折ってしまい、挙げ句の果てに「そのくらい自分で考えなきゃ」と変な主体性を求めたりするから結果がズレていってしまうのです。そのくせ「意図が全然伝わってない、わかってない」ってイライラするのよね、伝えてないのに。

話を聴く側の解釈で「わかった」気になっているだけ

そしてこれが、相手の話を「ちゃんと」聴こうとしてても起こるのだから恐ろしいんだな。
何を伝えようとしているのか、それは何をすることを指している(何をしてほしい)のか、理解しようと思って聴いていても、そこにはどうしても自分の解釈が入り込んでくる。自分の経験や価値観で「こうなんだろうな」と脳が自動的に判断してしまうから厄介で。

もっとひどくなると、それは思い込みや先入観になったりもする。

たとえば部下が「○○さんは早く帰りたいと言って、その仕事は明日にすると言っていました」と報告してくる。そう言えばこれまでも早く帰ることが多かったなぁ(先入観ポイント①)聞けばここんとこ2週間はほぼ毎日らしい(先入観ポイント②)なんだアイツは?やる気あるのか?(思い込みポイント①)

この時点で上司は根拠をもとにした(と思い込んで)「アイツはやる気がないヤツ(なのだろう)」という解釈が生まれてる。今後はその解釈をベースに話を聴くだろうし、言動を評価していく。それで「アイツを理解してる」みたいに完結しちゃってること、結構多いと思うなぁ。

「なぜいつもそんなに早く帰りたいのだろう?」この疑問が、ほんとうに大事。
それでも部下がうしろめたさなどから帰りたい理由を隠す(言わない)こともある。そんな時は理解しようと思って聴いても、部下は責められていると感じて余計に話をしてくれなかったり…

「相手の言いたい通りに聴く」って難しいのです。

ほんとうの理解とは?!

やっぱり「なぜいつもそんなに早く帰りたいのだろう?」という疑問がカギなのです。
つまり、相手の言っていること(やっていること)のうしろにある【背景・理由・動機】を知ろうとするということが「理解する」ということなんじゃないかな。

もしも例の部下の早く帰りたい理由が「家族が入院していて、お見舞いに毎日行っているから」だったら…「やる気がない」という評価は全然違ってくるよね。「そういうことなら早く言ってよ」と思うかもしれない。だけど部下は、空気を読んで話していない(もしくは話せない)のかもしれない。「話さない」ということにもやっぱり背景や理由があるんです。

そう考えると、部下側の自己理解にもつながってくる気がします。
自分はなぜ、家族のお見舞いに毎日行きたいのか?なぜ職場で「こういう事情で」と言い出さないのか?そうした疑問の答えには、自分が大切にしている考え(価値観)が必ず隠れていて。

相手を理解することも、自分を理解することも、「ああ、だからそうなっていたんだ」とほんとうの理解が進むと「次はこうしよう」「明日からはこうすればいいんだ」が見えてくるのです。それが取り組む課題、前に進めるヒントになる。

あの人は何を考えているかわからない、自分が何をしたいのかわからない、それをまるっと「わかってくれない」とかで完結させちゃうんじゃなくて、その状況や考えのうしろにあるものを理解しようとしてみよう。

もちろん。どうしてもできない、わからない時は、カウンセリングルームで伺いますよ^^

 

ABOUTこの記事をかいた人

キャリアカウンセラー 大野乃梨子

通称はイトウ(旧姓)/ノリさん。ほんとうの自分を知ること、人間関係や仕事の問題解決に向けた考え方、キャリアビジョンの描き方、ビジョンに向けた課題の取り組み方などに特化した記事を書いています。わたし自身もメンタル不調を患って以来20年、自分と向き合うことや人との関わりを長年考え続け、学び続けている最中です。自分をちゃんと理解し、それをわかってもらう喜びが人を動かす。それが「自分らしく生きる」ことだと思っています。