【チームマネジメント】お互いの強みを生かそうとしてうまくいかないのはなぜか?

ある企業の女性管理職お2人との新部門立ち上げの打ち合わせに参加した時のお話。

当時はその企業とともに「人の成長、育成」に取り組んでいた。現場での教育、メンター制度、評価制度などを一つの部門に集約し、より力を入れていこうと企画したプロジェクトの立ち上げだった。

その時が第1回目の顔合わせということもあって、堅苦しいものにするよりは夢とワクワクを味わう時間にしたかったから「お食事やお酒をいただきながらフランクに話そう」とご提案。「こんなことがやりたい」「あんな風になったらいい」というような話をどんどん引き出していったのだけどね。

おかげさまでポジティブでワクワクが詰まった、楽しく有意義な時間になったのだけど、興味深いのはなにも「その場が楽しかった」ということではなくて。

タイプの全く異なる2人がタッグを組むと…

2人の管理職はどちらも、社員の育成やサポート・フォローに強い想いを持ち、その重要性をしっかり共有していて行動力や推進力も備えておられた。ただし、2人の持つ特性は全く異なっていたんだよね。真逆と言ってもいいかもしれない。

おひとりは、革新型でどんどこ前に前に進むタイプ。打ち合わせではイメージや未来の姿、アイデアなどが溢れてきて止まらない。それまでは彼女の中でぼんやりとしていた「やりたいこと、やってみたいこと」が、イメージの中で形になっていくこと自体を楽しんでいてずーっとニヤニヤ。未来から逆算をしてやるべきことを導き出し「やることはいっぱいだけど、早くやりたい!」とおっしゃっていた。

もう一方の方は、どちらかというと保守型で現実思考の持ち主。現状から組み立てた行動計画をイメージし、目の前のことに集中するのが得意で、未来を具体的にイメージするのは少し苦手の様子。途中で何度も固まりながらも、未来のイメージの話に適度に質問を入れながらじっくりと訊き、「今やること」と「未来のイメージ」が繋がったところでようやく「わぁ…なんだか楽しくなりそうです」とおっしゃったのでした。

タイプの違う2人だからこそ、プロジェクトのパートナーにぴったりだとわたしは思った。お互いにないものを補い合い持っている強みを最大限に生かせるから、楽しく、しかもスピーディーに想いが形になっていく。

革新派の彼女は、ぼんやりしていた想いが形になることや想いを実現させる”仲間”ができたことにワクワクを感じ、意欲に満ちていて。

そして保守派の彼女は「今まで、仕事は”やるべきもの”としか捉えていなかったけれど、このプロジェクトに携わることではじめて”仕事でワクワクしていいんだ”と思えた気がします。仕事に夢があるっていいですね!」と、ご自身のキャリアの中での新しい変化にワクワクしたようだった。

強み=完璧=「孤高の戦士」という思い込み

もしかしたらご自分の仕事を「一人で戦うもの」みたいに捉えていませんか?

たとえば接客販売だったらどうしても個人の実績や売上に目が行きがちで、お店やチームで動いているにも関わらず「自分がなんとかしなくちゃ」のように感じながら働いておられる方のなんと多いこと。

ひとりで戦うとか、自分がなんとかしなきゃとかって、自分ひとりで「10(MAX)を目指す」ということなんだろうけど、MAXなんて継続しない。限度ってものがあるじゃない。ましてひとりで10以上を目指すなんてもってのほかじゃないですか。

更に言えば、自分がいくら10になったって他が1や2だったらどうにもならない。全員が10になればいいんだ!と息巻いているリーダーが、そうはならない現実に疲弊する場面をわりとたくさん見てきましたので。

それよりも、自分の強みを「5」生かす、そしてまわりの強みも「5」生かす。掛け合わせれば、大変な思いをして10にするより全体の数値は大きくなるよ。ひとりでできることなんてたかが知れているし、みんながみんな10を超えてくれるとは限らない。

誰かの力を借りることや周囲に頼ることは全然悪いことじゃない。むしろその方が前に進むのは速く、大きくなるはず。そのことに気づいたリーダーからどんどん動き、周りを巻き込みながら成長し、変化し、だから仕事を楽しめるようになっていくのではないかと。

今回の事例も「2人で一緒にやっていこう」とタッグを組んだからこそ、未来のイメージにワクワクし、それを形に変えていくことができたのではないかと思ってる。間に入ってファシリテートすることで、お互いの強みを生かしつつ、ないものを補い合うとはどういうことかを考えられた。

たぶんこれまでも、革新派の彼女の中にはずっと温めていたイメージもあっただろうし、保守派の彼女にも「どうにかしたいんだけど…」という思いがあったはず。長いこと「自分(ひとり)だけで考えちゃって周囲の合意が得られなかったのかもしれないなと思うわけです。

自分の強みを生かすにも、周囲との調和を考えなきゃ

自分の強みや弱みをしっかりと把握して、それをどう生かすか?どう補うか?を考えないとチームマネジメントはうまくいかない。でも一人で考えるにはどうしても限界があると思う。それこそ仲間に、周囲に頼り、ときにはライバルの力を借りることさえ必要かもしれません。

自分だけに向いている視線をぐーっと広げ周囲に目を向けてみると、力を貸してくれる人は実はかなり身近にたくさんいるはず。ひとりでやるよりも、力を借りることに目線が向いた時、今回の彼女たちのようにきっと「仕事ってワクワクするものなんだ…」と、思えるんじゃないかなぁ。

「ひとりで頑張らなきゃ」と思っている人こそチームワークを侮るなかれ、ですよホント。

ただチームの中でそれぞれの強みを発揮するためには、周囲と自分との考え方や特性の違いをちゃんと理解した上で、組み合わせたり掛け合わせたりするイメージを持たないと。じゃなきゃお互いの考え(強みでさえ)がぶつかるばかりで理解し合えないまま頓挫するハメになる。「わかってくれない」で終わっちゃう。

だからこそ、客観的に見てくれるファシリテートが必要なのだと思うな。

 

ABOUTこの記事をかいた人

キャリアカウンセラー 大野乃梨子

通称はイトウ(旧姓)/ノリさん。ほんとうの自分を知ること、人間関係や仕事の問題解決に向けた考え方、キャリアビジョンの描き方、ビジョンに向けた課題の取り組み方などに特化した記事を書いています。わたし自身もメンタル不調を患って以来20年、自分と向き合うことや人との関わりを長年考え続け、学び続けている最中です。自分をちゃんと理解し、それをわかってもらう喜びが人を動かす。それが「自分らしく生きる」ことだと思っています。