いつまでも問題が解決しないのは「課題」を考えてられてないからです

キャリアカウンセリングに来られる方はみな「何かしらの問題」を抱えておられる。こう表現をすると聞こえが悪くなっちゃうから言い換えると「問題を解決したい」と思って相談に来られる。

部下が動かない、お客様が減った、職場の雰囲気が悪い、上司とソリが合わない、自信がない、漠然と未来が不安…など挙げればキリがないけど、みんな「どうにかしたい」と思っているんですよね。

もちろんその気持ちを否定するつもりはないのです。ただ問題が解決しない(解決してもまた新たな問題が勃発する)状態を繰り返している人に共通するのは【問題】と【課題】をごっちゃにしている、ということじゃないかしら。

問題を考えるのはとても苦しく、暗くネガティブだしいつまでも終わらない。でも課題を考えるのはいつだってポジティブ、終わりがないことすら楽しくなれる。この考え方ができると「今の問題」って実は問題ですらなくなることもあるのです。

昇格を前に不安を抱えたあるリーダーの例

『私は性格も悪いし、ズルいし、人からの意見は穿った見方をしてしまう。すぐにラクな方向に流れるし物事をポジティブに考えることもできない。だからリーダーをやる自信なんてないんです』

なるほど…確かに。

性格が良くて誠実で素直に人の意見を聞き、いつも自分にも他人にも厳しく、迷った時には「苦しい選択」を取り、物事を楽観的にポジティブに捉えられるリーダー。うん、カンペキなリーダーの姿。こんなリーダーが自分の上司だったら喜んで「付いていきたい」と思うかも…しれない。

じゃあ、そんなリーダーになりたい?
たとえ今はそうじゃなかったとしても将来こういう完璧なリーダーの姿を手に入れていたい?

『うーん…』

さて困った。自分がなりたいリーダーの姿は果たしてどこにあるのでしょうか?

できない理由なら掃いて捨てるほど浮かぶのに「そうなりたい」はイメージできない、という典型的な例かもしれません。「そりゃそうでしょう?できない理由がある限り、できるようになるイメージが湧くわけがない」そう思う人も少なくないです。

これこそが「問題」と「課題」をごっちゃにしている、ということかと。

問題解決と課題への取り組みは別個で考える

「できるようになる姿」を想像しないから「できない理由」ばかりが浮かぶ。
「できない自分の姿」を想像するから「できるようになる姿」のイメージがわかない。

卵が先か?鶏が先か?みたいな話になっちゃうけど、もしも本当に”完璧なリーダー”の姿を手に入れたいと思っているのなら、「そうなるためにはどうすればいい?」と考えるはず。これが【課題】とその取り組みの内容になる。本来そこには「現状”できていない自分”の姿(=問題)」は関係ない、もっと言えば「できていない姿」が前提にあって当たり前のはずなんです。

つまり「こうありたい」「こうなりたい」のためにどうするか?を考えるのが課題。
「できていない」「やれていない」からそれをどうしよう?と悩むのが問題。

ここで大事なのは「できていない」ことを解決したら「こうありたい」に繋がるのか?という点なのです。ほとんどの問題はそう見えているだけで実は繋がっていない。そもそも「できていないからそうならない」って思い込んで「こうありたい」を見失っている状態。課題を考えられていないと言うのはまさにそこで。

「こうありたい」を叶える課題に今の問題は果たして関係あるのか?

冒頭のリーダーの例で言うならば、そうなっていないのはおそらく「なりたい姿」が別のところにあるからとは考えられないか。つまり、自分が目指す姿と進みたい方向を理解していないのに、頭が勝手に「完璧なリーダーの姿」を思い浮かべているだけかもしれない、だから「私にはできない」と感じている、と言えないでしょうか。

目指す姿が定まっていなければ努力する方向を間違える。そういう意味で体と頭は正直だなと思う。このままでは「なりたい自分」に進めないと察知したら、ちゃんと「できない理由」を並べてストップをかけるようにできているんです。

もしかしたら心の中では完璧なリーダーなんかじゃなく、もっと人にうまく頼ることができて周りに助けてもらえるようなリーダーとか、部下を引っ張っていくのではなく周りを下支えするリーダーを理想として掲げているのかもしれない。本音でなりたいと思ってないのだから「完璧なリーダーになれない理由」や「そうなれない自分」が浮かんでくるのはある意味当然のこと。

そう考えると、なりたい理想が別にあるのなら、今の「自信のなさ」ってあまり関係なくなってくると思いませんか?

できない理由が浮かぶ時は、何よりもまず前提を疑ってみたいですね。先の事例で言うところの前提とは「本当にそうなりたいと思っているのか?」つまり「なりたい私」や「目指す姿」をまず最初にしっかりと事細かに想像してみるということ。

問題を考えるのは、その後からです。
いくら問題を解決できたとしても、その先に「こうなりたい」がなかったら、前に進んでいくことはできないのですから。

 

ABOUTこの記事をかいた人

キャリアカウンセラー 大野乃梨子

通称はイトウ(旧姓)/ノリさん。ほんとうの自分を知ること、人間関係や仕事の問題解決に向けた考え方、キャリアビジョンの描き方、ビジョンに向けた課題の取り組み方などに特化した記事を書いています。わたし自身もメンタル不調を患って以来20年、自分と向き合うことや人との関わりを長年考え続け、学び続けている最中です。自分をちゃんと理解し、それをわかってもらう喜びが人を動かす。それが「自分らしく生きる」ことだと思っています。