【メンタルマネジメント】モチベーションのON-OFFスイッチ、意識していますか?

心理学の用語に「アンカリング」という言葉がある。
人間の五感からの情報によって認知にバイアスがかかり、特定の感情や反応が作り出される現象のこと。

例えば、防虫剤の匂いを嗅ぐとおばあちゃん家を思い出す、チョコソフトを食べると思い出の人の顔が浮かぶ、通勤時に「プラダを着た悪魔」のテーマソングを聞くとテンションが上がる、有線でCoccoを耳にすると涙が出てくる、ヒールを履いてカツカツ鳴らすと仕事モードに入る…などなど。

おばあちゃん家を思い出すために防虫剤が存在するわけじゃないし、テンションを上げるためにテーマソングが作られたわけではありません。それなのに五感が紐づくことで様々な反応になるのが個々に持っている認知の歪み。

人間の脳の不思議な仕組みです。

成功しているアスリートが使うアンカリング

スポーツ選手などはこの現象を、試合前のイメージトレーニングとか、本番のパフォーマンス向上に応用していることが多いと聞きます。イチローのバットを掲げるポーズ、五郎丸の手の動き、野球やプロレス選手の入場曲、関取の頬をたたく仕草、などがそれにあたる。

常に同じ五感を使って意図的に「成功」のイメージをインプットさせることを習慣づける。習慣化すれば、その五感に触れるだけで自動的にその時の感情や反応を呼び起こすことができるようにもなるということ。

バットを掲げたからホームランを打てるわけではないし、入場曲を聞いたから試合に勝てるわけではないけれど、あくまでも「成功したときと同じモチベーションを呼び起こす」という意味で用いられる。

スイッチを《うまくいくモード》に切り替えるというイメージなのです。

自分の記臆を「書き換える」

ちなみに冒頭で挙げたアンカリングの例はすべて、わたし自身が経験してきたものばかりです。スポーツ選手のように意図的に作り上げてきたものもあれば、チョコソフトやCoccoの有線などは、うつでボロボロだった時の感情が呼び起こされる無意識のものだったりする。

はじめのうちは、嫌な感情が呼び起こされるのを避けるために、チョコソフトもCoccoも遠ざけるようにしていた。とはいえ音楽なんて街を歩けばふいに耳に入るものだったりするから、突然泣き出したりしたら、周囲に心配をかけてしまう(笑)こういうのを「トラウマ」と呼ぶのですよね。フラッシュバックと言った方がわかりやすいかも。

心理学を勉強する前だったけれど、「この記憶は書き換えられるのではないか」と思ったのです。楽しい時間に「あの」チョコソフトを食べれば、次に食べる時には楽しい思い出が浮かぶのではないか、とか。

これが我ながら名案で。

時間はかかったけれど、今ではチョコソフトもCoccoも苦い思い出や涙と紐付かなくなった。認知の歪みを整えることに成功したということだと思う。

そしてこの経験を利用して、通勤前の憂鬱さを「プラダを着た悪魔」のテーマソングで解消させ、仕事には必ず7cm以上のヒールを履いてカツカツ鳴らしながら歩くことで、「ONモード」に切り替えるようにしていました。

余談だけどNLPに初めて触れた時、その現象をアンカリングと呼ぶのだと知り、ちょっと鳥肌がたった。科学的に実証されているものを感覚的に活用していたとわかって、「わたし、なんかスゴくない?」と思わずオットに自慢したくらいにして。

ただ単にものの考え方が単純だ、という話なんだけれども。

どんなモードでいるかは自分で決められる

せっかくだからこうした脳の不思議な仕組みは、うまく活用していったほうがいいですよね?意図的にポジティブに活かせば毎日がもっと楽しくなる。うまくいく「モード」を自分で作り出す感覚。そして何より、一歩間違ったらトラウマになっていただろうチョコソフトやCoccoも、もう恐れる必要はなくなった。ポジティブにも、ネガティブ解消にも活用できるということ。

軽々しく言うつもりはないけれど、日々の苦しみも悩みも、自分自身が引き起こしているだけかもしれない。ある事実を目の前にして「やっぱり」こうなった、と感じること、「どうせ」こうなるだろう、と予測したりすることも、認知にバイアスがかかっている状態。特にネガティブな状況の時には、強い思い込みが関わっていることも多いから。

そんな風に無意識のうちに作られたスイッチに右往左往するのではなくて、スイッチを作り上げ、意識的に切り替えることで、自分の手でコントロールする感覚を持ち続けたいですね。

 

ABOUTこの記事をかいた人

キャリアカウンセラー 大野乃梨子

通称はイトウ(旧姓)/ノリさん。ほんとうの自分を知ること、人間関係や仕事の問題解決に向けた考え方、キャリアビジョンの描き方、ビジョンに向けた課題の取り組み方などに特化した記事を書いています。わたし自身もメンタル不調を患って以来20年、自分と向き合うことや人との関わりを長年考え続け、学び続けている最中です。自分をちゃんと理解し、それをわかってもらう喜びが人を動かす。それが「自分らしく生きる」ことだと思っています。